2009年05月15日

しおかぜ・ふるさとの風

毎日放送されている拉致被害者向けの放送、いまひとつ代わり映えがしない内容である。
それでも当事者にしてみれば何とか早く帰ってきてほしい。政府に大きな影響力を与えない人たちが拉致され、それをいいことに外務省も動かない。変な国へ取材に出かけた人がゲリラに拉致されれば邦人保護とか言ってあらゆる努力をする。

それが30年も経っても尚やろうとしない、税金で飯を食っている連中たち。そんなことを端的に物語っている記事があったので転載する。

北朝鮮拉致被害者についての発言の真意 田原総一朗
 もう一つ、今日は申し上げたいことがある。
 12日、拉致被害者の家族会が私に抗議をしているという記事が、全紙に出ている。この問題について、私なりの考え方をお話ししたい。
 拉致された横田めぐみさんら8人が、生きている、生きていない、ということが記事では問題にされているが、私が提起したかったことは、まず、日本の政府がだらしないということだ。
 なぜか。日本政府は、拉致問題について北朝鮮と本格的交渉がまだやれていない。このことをだらしない、と言いたい。
 去年の10月、米ブッシュ政権が北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除したが、私は、このとき、外務省幹部に、「これはアメリカの日本に対する裏切りではないのか」と問うた。拉致問題は、横田めぐみさんをはじめとする被害者が多数いる重大な問題で、北朝鮮と交渉をしているが非常に難航している。そんな状況にもかかわらず、アメリカが指定を解除したのは日本に対する裏切りではないのか、という意味で尋ねた。
 これに対し外務省幹部は、アメリカは日本には交渉の時間を十分に与えたと答えた。

 では、「十分に時間を与えた」とはどういうことなのかと聞いた。
 当時、米ブッシュ政権のライス国務長官の下にいたヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が北朝鮮との交渉をしており、ベルリンで北朝鮮代表と会談をした。そして、この時からアメリカは対北朝鮮政策を、圧力から対話に変えた。そして、バンコ・デルタ・アジアの口座を封鎖していたが、結果的にこれを解除した。これは、アメリカが圧力から対話に変えたことを具体的に示す出来事だ。
 外務省幹部が言うには、そのベルリン会談以後、アメリカは日本に1年、時間をくれたのだと。
 それは何のための1年なのか聞くと、それは拉致問題について日本が北朝鮮と交渉をする時間であったが、日本は北朝鮮と本格的な交渉をしなかった。このことでアメリカは見込みなしと判断して指定解除を行ったと、外務省幹部は話した。
 なぜ、日本は北朝鮮と本格的交渉ができなかったのか。
 この質問に対し、外務省幹部は「世論」だと答えた。
 拉致被害者家族をはじめとして日本の世論は、8人の拉致被害者が生きていることを前提にする交渉しか認めない。これでは本格的交渉はできないというのだ。

 実際に、北朝鮮側が日本に「8人の被害者は生きていないけれども、それ以外に複数の日本人被害者が生きていて、彼らを帰国させたい。もし、それをやれば、日本の北朝鮮に対する感情は良くなるのか。もし良くなるのならやりたい。良くなるのかどうかを外務省で調べてほしい」と依頼してきたという。そして外務省は調査を行ったが、「良くはならない、むしろ悪くなる」という結果が出て、北朝鮮にそれを伝えたら、帰国させたいという申し出が沙汰止み(さたやみ)になったというのだ。
 このことを踏まえて私は、日本の外務省、また日本の政府に対し、なぜ、本気の交渉をしないのかということを言いたかった。世論が怖いから本気の交渉ができないとはだらしない限りだ。生きているのか、生きていないのかわからない中で、生きていることだけを前提にしなければ交渉にならないとか、だから本格的交渉ができなかったというのでは、拉致被害者の家族の方々に対しても、国民に対しても、無責任極まりない。もっと本気の交渉をやるべきだと、そう主張したかった。
 そうしたことを申し上げたかった。
 私の言葉が足りなかったのかもしれない。
 「被害者が生きていない」と私が発言したということだけが大きく取り上げられているが、私の主張は、北朝鮮と本格的な、本気の交渉することが政府の責任であり、それが被害者家族の方々に対しても責任を果たすことになる、ということだ。
 しかし、私の言葉が足らなかったために、被害者家族の方を傷つけ、あるいは怒らせてしまったことは申しわけなく、それについてはお詫びしたい。

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