すでに旧聞になるが、「しおかぜ」に混信があっても周波数を変えない理由や、NHKが拉致事件を解決したくない理由が5月19日の衆議院総務委員会の様子からはっきりと見て取れる。
ITUの承認を経てからでないと周波数変更はできないとか、中波放送は国内向けの周波数だから海外向け放送は出来ないなどと理由を並べて、NHK以外の放送はできなと完全拒否をしている。
八俣送信にかかる経費の値上げの根拠も不透明として質問がされている。
以下、5月20日【調査会NEWS1878】より
特定失踪者問題調査会専務理事 村尾建兒
3月29日から開始した「しおかぜ」の300kw送信は、山谷拉致問題担当大臣、拉致問題対策本部のご尽力により実施に至りましたが、その一方で新たな課題も発生しています。その実態を重く見た渡辺周民主党衆議院議員・拉致議連会長代行が今回動いて頂けるという事になり、兼ねてからの中波送信課題も含め、5月19日午前9時から開催の衆議院総務委員会において、短波放送「しおかぜ」についての質問が実施され傍聴して来ましたのでご報告します。
自分自身メモを取りながら傍聴していましたが、途中からその手が止まるほど、答弁には拉致被害者救出に対する意識が全く感じられない、その場凌ぎの言葉に呆然とする状況でした。外務省の日朝協議説明会などでも感じることですが、安倍総理の拉致問題解決の熱意は何処へ言ってしまったのか?この国の政府は本当に自国民を助ける気があるのか?「一事が万事」これまで拉致被害者を助ける事が出来ていない真実を垣間見た瞬間でした。
「しおかぜ」の事に限らず、拉致被害者救出の為には、今後も様々な形、あらゆる場面で訴え、追究し続けなくては成りません。今回の渡辺周衆議院議員と関係者のご尽力に心から感謝する次第です。
メモなので正確ではありませんが概要は以下の通り。なお委員会の様子は動画にて下記サイトからご覧になれます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44874&media_type=fp
答弁者 ・高市早苗総務大臣・NHK福井敬専務理事・NHK井上樹彦理事
質問事項
(1)300kw用に割当られた周波数(5985kHz)が、CRI(中国局)と混信している。調査会から総務省へ割当変更を要請している件について
(2)100kwから300kwへ増力した事により、実費となる電気代(時間料)の他に基本料金が増額された件について
(3)中波であるNHK第二放送が、深夜25:00以降使われていない事について、2013年にも決算行政監視委員会第一分科会に於いて、当時の三宅博衆議院議員が質問しているが、その後NHKとしてどのように検討したか
(1)周波数混信と変更について高市総務大臣は「しおかぜ」と「CRI」の混信は理解しているが、送信先エリアが異なる点(北朝鮮とアフリカ)を上げ、現在「しおかぜ」に割当てている別の周波数は、他の諸外国放送に影響を与える懸念について説明。現在混信している周波数変更の対応時期は、7月以降実施されるITU(国際電気通信連合)の国際周波数調整会議を経て10月末の次期からになると答弁。
−—— つまり総務省は現在の中国との混信には手を付けない。混信で拉致被害者が聴きにくい状態でも良いと判断しているという事です。
(2)増力による料金値上げについてNHK福井専務理事は、時間料(電気代)は増力による実費の電気代、基本料金に含まれる電力料とは施設に関わる電気代であり、その他の労務費、原価消却、管理費等を分配した結果が増額された内容であると答弁し、また契約はKDDIと調査会との間で合意しているとした上で、負担の割合については今後調査会から求めがあれば、誠実に対応したいと答弁。
−—— この点については、我々として今回の300kw増力早期実現を最優先に考え、3者協議(NHK、KDDI、調査会)の中で合意した結果、現在の送信に至っています。逆に言えば合意しなければ3月末からの300kw送信は実現出来なかったでしょう。また同時に料金再考については同会議の場において口頭ですが打診しています。
(3)中波放送についてNHK井上樹彦理事からは、2013年に当時の三宅議員へ答弁した内容と全く同じでした。NHK第二放送の送信機は、周波数が固定式であり、その改修には新たな送信所を新設する程の費用が掛かるため難しいと答弁。
−——この間NHKは、なんの検討もしていないという事です。
渡辺議員は一連の質疑を踏まえ、終止出来ない理由を繰り返す各参考人の答弁に、安倍政権の拉致問題解決はオールジャパンでやると明言しているが、これでは看板倒れであると強く指摘、高市大臣へ指導力の発揮と決意の答弁を求めましたが、高市大臣からは「中波は国内の電波であるため確保は困難である」「しおかぜの短波周波数確保に向けて、これまで以上に各国の理解も求めながら準備と調整を図って行く」「しおかぜについては北朝鮮に於ける情報伝達手段として重要であると考えているのでフォローをして行く」と答弁。
最後に渡辺議員は、日本国として拉致被害者救出のためには、各省庁が「やれるという信念の下に取組まなければ何も出来ない」と主張、今後もさらに追究するとした上で質問は終了しました。